「悲しみだろうと寂しさだろうとかまわない。なにも感じられないくらいなら、凪水のいない苦しみにさいなまれたほうがずっといい」 「……」 「キミを恋しく思うことすら許してくれないのか」 海原くんの鼓動が聞こえる。 トクン、トクン 今ここに生きていて、わたしのために声を震わせている証拠。 「忘れてやるもんか」 「……」 「生きていようと死んでいようと、キミという存在をこの身に深く刻みつけられ、一生の苦しみを味わうことが、俺にとっての至上の幸福なんだ」