彼と、花火と、観覧車

 大学で情報メディア学科を専攻していた夏生は卒業後、映像カメラマンになった。
 近年増加しているインターネット配信番組の制作現場で活躍している。
 スタジオ撮影だけでなく、屋外ロケや生配信などもあるため忙しくしていると、以前に本人から聞いたことがある。

「そうか。また、みんなで新居へ遊びにおいでよ」
「ありがとうございます」

 そっと会釈をして笑みをたたえた。
 今もなお私と夏生が親しくしていると思われていそうだったけれど、あまり連絡を取っていないとはなんとなく言えなかった。

 決して機嫌を損ねるようななにかがあったわけじゃない。でも、気軽にメッセージを送らない。
 今はもうそれくらいの希薄な関係になってしまったのだ。


 パーティーがお開きになり、新郎新婦にもう一度あいさつをしに行った。
 幸せそうな真木先輩の顔を見ていたら、おすそ分けをもらったみたいに私も温かい気持ちになれた。

 建物の外に出たあと、帰る方向が逆の澄香とは「またね」と手を振って別れる。
 ひとりで気の向くまま歩き、ふと立ち止まって港と都市が融合した美しい街並みを眺めた。
 春の夜風がふわりと髪を揺らす。

「綺麗……」

 海のほうから波の音がかすかに聞こえ、水面には高層ビルから漏れる明かりが映っていた。