彼と、花火と、観覧車

「私も、ずっと夏生が好きだったよ。今も変わってない」

 正確に言えば、忘れようとしたけど無理だった。
 社会人になって接点が少なくなっても、夏生は私の心の中に居続けていたから。

「なんだ、初めから両思いだったのか」

 恥ずかしくなってうつむくと、向かいに座っていた彼が突然、私の隣に移動してきた。

「この花火、まるで俺たちを祝福してるみたいだな」
「そう、だね」

 腕と腕が触れ合う距離にいる。
 そんなふうに意識した途端、心臓がドキドキと激しく早鐘を打ち始めた。

「ねぇ、なんで隣に?」
「なんでって……近づかないとキスできないだろ?」

 耳元でそっとささやかれ、胸が痛いほどきゅんとした。
 彼が私の肩を抱き寄せ、端正な顔を近づけてきて唇を奪う。

「……夏生、好き」
「うれしい。でも絶対俺のほうが好きだよ」

 微笑み合い、再び引き寄せられるように唇を重ねる。
 とまどっていたのがバカみたいだ。
 だって私は、こんなにも夏生のことが好きなのに。