彼と、花火と、観覧車

「俺は今も、羽衣が好きだ」

 心臓がドキドキと早鐘を打ち、顔がほてってくる。
 偶然再会した今夜、まさか告白されるとは思ってもみなくて、頭の中は大混乱に陥った。

「夏生は……モテるでしょ。私じゃなくても……」
「俺、一途なんだけど」
「……失言しました。ごめんなさい」

 こんなときにネガティブな言葉しか出てこない自分が情けない。
 だけど私は自信がないのだ。彼の隣に並んでいい女性なのかどうか。
 もっとふさわしい女性がいるんじゃないかと考えてしまった。

「羽衣は俺のこと、どう思ってる? 嫌い?」
「嫌いじゃないよ」
 
 私だって、今でも夏生が好きだ。
 ずっと拗らせてきた恋が、実は両思いだとわかって、本当はうれしくてしかたない自分がいる。
 だけどその反面、彼と私では釣り合わない気がして、素直に返事ができない。
 決してもったいつけているわけじゃないのだけれど。

「何度でも言う。俺は羽衣が好き」
「夏生……」
「どうしたら羽衣にうなずいてもらえるかな」

 彼が長くて綺麗な指をあごに当てながら、首をひねって考え始めた。
 私が勇気を出して彼の胸に飛び込めば解決なのにと思うと、なんだか申し訳なくなってくる。

「じゃあ、こういうのはどう?」

 なにかを思いついたのか、夏生が人差し指をピンと立てて小さく笑みをたたえた。