彼と、花火と、観覧車

「澄香はずっと怒りながらとりとめのない話をしてて、先輩たちには羽衣が代わりに謝ってたよな」
「うん。だって、黙って見ていられなかったから」

 ヤケになってかなり荒れていた澄香は、自分がなにをしゃべっているのかもわかっていない状況だった。
 先輩たちが『ウザい』と言わんばかりの表情をしていたため、私が必死にとりつくろったのを覚えている。

「懐かしい」
「考えてみたら、あれが決定打だったかなって思うんだ」
「……なにが?」
「羽衣のことがどうしようもなく気になった」

 いったいどういう意味なのか。
 その答えは問い返さなくても想像がついたけれど、ありえない展開に心が追いついていかない。
 ……そんなバカな。私に対して、友達以上の感情を抱いていた?

「でも、羽衣は真木先輩に気があるってずっと思ってたから。言えなかったんだ」

 両手を膝の上で組んだ夏生が、私を射貫くようにじっと見つめる。

「もう何年も前の話でしょ」

 はっきりさせるのが怖くて、この期に及んでごまかす私はずるい。
 それでも、今夜の彼は逃してくれそうにないみたい。