転生聖女〜現代日本に転生したら、勇者と魔王も同じクラスだったのでクラス替えお願いします

 翌朝、目が覚めると、いつものベッドだった。


「……んん?」


 別に、前世のことを忘れている感じはない。

 起き上がってリビングに行くと、ママが朝ごはんを用意していた。


「おはよう、エミリ」

「おはよう、ママ。ねえ、前世のこと、忘れてないよ」

「そりゃ、急には忘れないわよ」

「あ、そうなんだ?」


 なんだか拍子抜け。

 とにかく身支度をして朝ごはんを食べて、家を出た。

 学校に着くと、ユウキとアコが普通に「おはよ~」なんて手を振ってくれた。


「そういえば、今朝は来る途中で喧嘩してる人を見なかったよ」


 ユウキが言って、アコも頷く。


「そだね、最近毎日駅や電車で喧嘩してる人見るけど、今朝はいなかったわ」

「そう言われれば、そうかも」


 しばらくしてリオンが来て、ちょっと不思議そうに私を見た。


「おはよう、リオン」

「おはよう。……うん、やはりそうだ」

「なにが?」


 リオンはカバンを置いて席に着いた。

 いつも通り微笑んで私を見ている。


「エミリに対する気持ちに変化はない」

「そ、そっかあ……」

「朝から熱烈だねー」

「ユウキだって先輩といい感じなんでしょ?」


 アコとユウキは盛り上がっていた。

 すぐにルイも登校してきて、私とリオンをマジマジと見つめた。


「んー、やっぱ別に忘れてねえよなあ」

「やっぱり? 私もだよ」

「僕もだ。総一郎に確認する」


 リオンはスマホを取り出して、真野さんにメッセージを送っている。

 席に着いたルイが振り向いた。


「ああは言ったけどさ、やっぱり覚えていられるなら、覚えておきたいよ。前世の冒険だって、俺の大事な思い出だし」

「そりゃそうだ」


 前世の記憶は、ルイとリオンのことだけじゃない。ママに拾われた日、教会でお祈りと魔法の練習をした日々、魔王退治の旅に出たこと……たくさんの思い出が私の中にある。


「な……?」


 スマホを見ていたリオンが、眉をひそめた。


「どしたの?」

「記憶はいきなりではなく、徐々に消えるそうだ。……その、五十から百年ほどかけて」

「それ、人間の寿命終わってんじゃん」

「ああ。しかし総一郎はすぐだと……」


 ルイとリオンが顔を見合わせた。

 私は、ふと気づいてリオンを見た。


「ねえ、真野さんさ、もしかして魔族の時間感覚で『すぐ』って言ってない?」


 前にも火渡くんが魔族の感覚で話していたから、もしかして、だけど。

 リオンがまたメッセージを送って、返事はすぐに来た。


「エミリの言うとおりだったらしい。総一郎はどうやら五百年ほど生きるつもりでいたらしいが」

「いや、無理だろ!」


 ルイが突っ込んだ。


「でも、そっか。それならよかった」


 ルイとリオンも同じように笑っていて、なんていうか、よかった。