転生聖女〜現代日本に転生したら、勇者と魔王も同じクラスだったのでクラス替えお願いします

「どういうこと?」


 ルイが困った顔になった。

 正直私にもよくわからない。


「魔王が元の世界からこちらに転生した際、多すぎる魔力を引きずってきてしまったから、魔族たちがそれをたどって追ってきたんだ。だからそれを切っちゃえばいいのさ」


 真野さんが手をチョキにして、パチンと切る仕草をして見せた。

 なるほど?

 わかったような、わからないような。


「ただ、もちろん副作用というか、影響はある。……前世の記憶が徐々に薄れていく」

「それって、俺がエミリたちと冒険をしたことを忘れていくってこと?」

「そうだ」


 ルイはまた困った顔で私を見た。

 でも私も何も言えない。


「それは……僕と総一郎はどうなるんだ?」

「俺らは君の魔力を介してこちらに魂を移してきた。だから、君があの世界との繋がりを切れば、俺らも前世の記憶は薄れるだろうな」

「あの、真野さんの言う『俺ら』って」


 つい口を挟んだら、ジロリと睨まれた。

 前世で、何度も私たちの前に立ち塞がった、魔王の側近の顔だ。


「察しの悪い聖女殿だ。すっかり生温い現世に馴染んでしまって」

「止めないか、総一郎」

「承知しました、魔王様。まあ冗談ですけどね」


 真野さんはわざとらしく肩をすくめた。

 私の察しの悪さに苛ついたのは本当だと思う。


「俺ら……つまり、リオンの魔法で転生してきた人間、魔族は全員ということだ」


 アイリや火渡くん、ケントに皐月先生もってことか。

 それに……。

 隣に座る、リリアママを見た。


「ママも、私のこと忘れちゃうの……?」

「前世のことはね 」


 ママはあっさり頷いた。


「でも、今世のことは忘れないから、あなたと出会ってから今まで一緒に生活してきたことは、なーんにも忘れないわ」

「……そっかあ。あ、じゃあルイとリオンも再開してからのことは忘れないってこと?」

「ああ。君たちが過ごしてきた高校生活がなくなることはない」

「そっかあ……」


 ルイとリオンを見ると難しい顔をしていた。

 二人は、何を考えているのだろう。


「総一郎、少し考えてもいいか?」

「ああ。だがあまり時間はない。時間をかければかけただけ、向こうからの流入が増える」

「わかった……週明けまでには。馬鹿勇者もそれでいいな?」

「あ、ああ。わかった」


 真野さんはリオンとルイを連れて帰っていった。


「あなたは、どうしたい?」


 リリアママが薄暗い玄関で振り返った。

 私の答えは決まっていた。