転生聖女〜現代日本に転生したら、勇者と魔王も同じクラスだったのでクラス替えお願いします

 さて、文化祭当日だ。

 初日の午前中は、ルイと看板を持って宣伝半分、遊び半分。

 途中でアイスを買って食べたり、人力コースターで遊んだりする。

 写真部がポラロイドカメラとスマホで写真を撮ってくれると言うからピースしたら、ルイに抱き寄せられた。


「ちょ、近いって」

「嫌?」

「い、嫌じゃないけどさ」


 もらった写真はなかなかいい感じで、ルイがポラロイドカメラの写真をじっと見ている。


「さすが写真部。スマホで撮っただけなのに、めっちゃおしゃれだ」

「なあ、これもらっていい?」

「いいよ」

「ありがと。……嬉しい」

「そんなに?」

「そんなに。たぶん、エミリが思ってるより、俺はエミリのこと好きだよ」


 私もたぶん、ルイが思ってるよりルイのこと好きだ。

 かっこよくて優しくて、笑顔が眩しい。

 でも困ったことに、私は同じくらいリオンにも惹かれている。だから、何にも言えない。やだなあ、優柔不断で。


「エミリは知ってると思うけど、俺すぐ突っ走っちゃうから手つないでてよ」


 差し出された手を、ついまじまじと見てしまう。

 見慣れた大きな手だけど、前世と違ってマメや傷はほとんどない。

 見上げたルイは照れたような困ったような笑顔で、かわいかった。


「そうだねえ。ルイは昔からすぐ一人で走って行っちゃって、追いかけるの大変だったんだよ」


 だから私も笑ってその手を取った。

 たぶん、最初からそうしておけば良かったんだろう。

 ルイは嬉しそうにニコニコしながら辺りを見回した。


「あ、夏祭りだって。行ってみようぜ! 型抜きしたい」

「ルイ、そういうのできるんだっけ……?」


 そんなに器用じゃないと思うんだけど。

 前世でも大雑把とか、だいたいとか、適当とか、なんとなくとか、そんな感じだったし。


「任せとけよ。……あれ、なんか騒がしいな」

「ほんとだね」


 二人で夏祭りをやっている三年の教室を覗き込むと、射的のところで怒鳴っているおじさんがいた。


「今のは当たっただろ! 寄越せ!! 景品を寄越せ!!!」


 スマホを取り出してニャインのクラスグループを呼び出す。担任の先生も登録してるから先生宛にメッセージを飛ばした。

 他にも同じ事をした生徒がいたみたいで、先生が何人もやってきて、おじさんは連れて行かれた。


「高校生の文化祭であんなに怒鳴らなくてもねえ」

「んー」


 ルイが首を傾げていた。


「どうしたの?」

「や、なんか変じゃなかった?」

「変?」

「うーん……嫌なにおいがしたというか。どこかで、あんな感じになったんだけどなあ……?」


 よくわからない。

 結局夏祭りには入らないで、お昼ごはんを買って教室に戻った。