転生聖女〜現代日本に転生したら、勇者と魔王も同じクラスだったのでクラス替えお願いします

「あと二週間で高校に入って最初の期末試験がある」


 放課後の図書室で、リオンがおもむろに顔を上げた。


「嫌なこと思い出させるなよ」

「馬鹿勇者はなんのために放課後勉強をしていたんだ。いや、どうでもいいから答えなくていい。僕らのモチベーションのために、一つ提案がある」


 リオンがニヤッと笑った。

 何か嫌な予感がする。


「ちょ、リオン、待っ」

「エミリ。僕と勇者で、試験結果の良かった方とデートしてくれ」

「やだよ」

「あ、いいな、それ!」

「良くないけど!?」


 リオンとルイが立ち上がって、ガシッと握手した。

 馬鹿じゃないの!?


「それ、私が一番だったらどうするのさ」

「好きな方をデートに誘ってくれ」

「……なんでどっちかが選ばれる前提なのよ」

「エミリは」


 リオンがニコッと笑って私を覗き込んだ。


「僕たちのこと、それなりに好きだろう?」

「どんな自信よ、それ」


 つい目を逸らしてしまった。

 図星ってほどじゃないけど、それほど的外れでもなくて、いや、私なんでこんなに言い訳してるの。


「わかった。受けて立とうじゃん」

「マジか、頑張んなきゃ」


 ルイがニヤッと笑って、今日やった小テストを出してきた。


「おい、魔王、ここ教えろ」

「教わる立場のくせに偉そうな。そこは教科書にきちんと解説がある」


 二人はさっそく真面目に勉強を始めた。

 勇者と魔王が馴れ合うなし! って思うけど、今はただの同じクラスの男子高校生だ。

 私も真面目に勉強しよう。

 デートなんてしないし。

 そりゃ、二人のことは嫌いじゃないけどさ。

 でも、そういうんじゃない。

 だって、二人が私のこと構うのは聖女だからであって、今のどこにでもいる私は、二人に好かれる資格も理由もないと思う。


「エミリはもう少し図々しくてもいいと思う」

「なに、いきなり」


 ルイが珍しく困った顔で私を覗き込んだ。


「こんなイケメン二人に迫られてるんだからさ、もう少し、俺らのこと顎で使ったり、偉そうにしてもいいと思うよ」

「やだよ。そんなの感じ悪いでしょ」

「まあ、そこがエミリのいいところだがな。好きだよ、エミリ。君とデートしたいから、僕はそこの馬鹿勇者より高得点を取る」

「俺だってエミリのことずっと好きなんだっての。ポッと出の根暗魔王には渡さねえよ」


 私は口をへの字にすることしかできなかった。