転生聖女〜現代日本に転生したら、勇者と魔王も同じクラスだったのでクラス替えお願いします

 リオンを連れて家に帰ったら、真野さんがコーヒーを入れていた。


「やあ、エミリちゃん。お帰り」


 すらりと背の高い、スーツ姿の真野さんは穏やかに微笑んだ。


「ただいま、真野さん。ママは?」

「エミリちゃんがそろそろ帰ってくるからって、晩ごはんを用意しているよ。リオンもお帰り。エミリちゃん、このまま住んでいい?」

「ダメです。帰ってください」


 ていうか仕事中ですよね?

 帰社しなくていいんですか?

 なんでもいいけど、帰ってください。


「エミリちゃんは相変わらずしっかりしている」

「ああ、だがそこがいいんだ。総一朗、次はちゃんと婚姻届を用意しておこう」

「いらないよ! いいから帰りなよ、もー!」


 真野さんからケトルを取り上げていたら、台所からママがお弁当箱を持って出てきた。


「おかえりなさい、エミリ。はい、総一朗さんとリオンくんに晩ごはん」

「ありがとうございます。すみません、わざわざ」


 ニコニコしながら真野さんはお弁当箱を受け取っている。

 ……なんでママはたまに真野さんにお弁当作るんだろう。


「ママ、真野さんと結婚するの?」

「エミリがリオンくんとくっついたらね」

「それじゃあ一生しないんだね。さよなら真野さん」

「ちょっと!? おい、リオン、頑張れよ」

「他力本願だぞ、総一朗。ともあれ今日は遅いし失礼する。エミリ、また明日」

「え、うん。また明日」


 思ったよりあっさりリオンが出て行っちゃって拍子抜け。

 もうちょっと粘るかと思った。

 ……粘ってほしかったわけじゃないけどさ。

 一緒に晩ごはん食べるくらいはするかと思ったのに。


「さすが、魔王。策士ねえ」

「え、そうなの?」


 ママはニヤーッと笑って玄関を見ていた。


「押して駄目そうだから引いてみたんでしょう。成功ね」

「せ、成功って!? そんなことないし」

「どうかしら? さ、私たちもごはんにしましょう」


 そりゃ、ちょっとは「どうしたのかな」とか思ったけどさ。

 そんなんじゃない。はず。