転生聖女〜現代日本に転生したら、勇者と魔王も同じクラスだったのでクラス替えお願いします

 夕方の図書室でリオンと勉強をする。

 ルイは週末に試合があるからって部活に行った。

 昼間の皐月先生とケントの話をすると、リオンは首を傾げた。


「その生徒は知っているが、穏やかな人物だと認識していた」

「そなの?」

「うん。漫研で一緒なんだ」


 確かに漫研に荒っぽい男の子がいるイメージはない。

 偏見かもしれないけど。

 体育祭でも暴れてる先輩がいたし、ニュースでも喧嘩や暴力沙汰が増えてると言っていた。

 なんなんだろうなあ。


「皐月先生、まんざらでもなさそうだったんだよね」

「エミリも、そろそろなびいてくれてもいいと思うが」

「何がそろそろなのよ」

「そこ、スペルが違う」

「あっ、ほんとだ」


 私のノートをトンと指すリオンの指は、節くれ立っていて太い。

 つい自分の指と比べちゃう。

 いやいやいや、今はリオンの指じゃなくて、間違えた英文を直さないと。


「えっと、彼は間違いに気がつきました……そこは海ではなく山村だったのです……なんて?」

「教科書の英文はときどき状況がとんちきだから、そこは気にしない方がいい」

「う、うん?」


 書かれていることが意味不明なせいで、私の和訳が間違えてる気がするけど、とにかく読み進める。

 なんとか復習と宿題を終えた頃には最終下校時刻ぎりぎりだ。


「遅くなってしまったし、送る」

「まだ明るいし大丈夫だよ」

「総一朗が、エミリの家にいるらしいんだ」

「真野さん? なら、一緒に帰ろうか」


 並んで学校を出ると、校庭が夕日に照らされている。

 ルイが走っているのが見えるけど、真剣な顔だから声はかけないで校門を出る。


「……総一朗がシスター・リリアと再婚したら、僕らは兄妹になるのか?」

「わかんないなあ。私、リリアママと養子縁組してないから」

「なぜ?」

「さあ? ママに聞いても、「必要なかったから」としか言わないから、よくわかんないだよね」

「つまり、総一朗とシスター・リリアが結婚しても、僕らは兄妹にならないが、一緒に住むことができて、寝食を共にできるのか。なるほど。総一朗には頑張ってもらう必要がありそうだな。エミリ、役所に寄っていこう」

「待って、早口過ぎてよくわかんなかったけど!?」

「役所で婚姻届を二枚もらう。総一朗用と僕ら用だ」

「いらないよ!」


 リオンを引っ張って家に向かう。

 魔王だからか、リオンは行動力と決断力がある。

 今は発揮しないでもらって大丈夫です。