皐月先生の授業は意外にもわかりやすかった。
説明が丁寧だし、板書も丁寧だ。
うーん、意外。
本人に聞いたら、「ふふん」と笑われた。
「意外とか言うな小娘。元がサキュバスなんだから当たり前でしょ。相手の求めるものを察して、わかりやすくお出しするの、得意なのよ」
「ふうん。ムカつくからその垂れた胸ぶっ叩いていい?」
「いいわけあるか、この性悪聖女!」
リオンとケントが通りかからなかったら、殴り合いになっていたかもしれない。
ある日の皐月先生の授業のあと、日直だった私はノートを集めて皐月先生を追いかけていた。
「半分持ってよー」
「あーら、日直の仕事なんでしょ?」
「リオンが日直ならやらせないくせに!!」
「当たり前じゃない」
「ムキーッ!」
階段に差し掛かったところで、後ろから怒鳴り声が聞こえた。
「俺にも揉ませろよ!!」
「なに?」
怪訝な顔で皐月先生が振り返った。
や、私もわかんないです。
釣られて振り返ると、男の子が私と皐月先生目掛けて突っ込んできた。
「わ、あっ」
避けようとしたけど、ノートの重みでひっくり返った。
あれ、痛くない……?
「どう? 勇者様、かっこよかった?」
見上げると、ルイがニヤッと笑って覗き込んでた。
「……かっこよかった。あ、いや、えっと、皐月先生は?」
「だいじょーぶ、ケントがかばったから」
階段の下を覗き込むと、皐月先生を庇うケントと、さっきの男の子が先生に取り押さえられていた。
男の子は取り押さえられながらも、皐月先生に向かって怒鳴っているけど、何を言っているのか全然わからない。
私が起き上がってノートを集めている間に、男の子は連れて行かれた。
ルイと一緒に階段を降りて、皐月先生を覗き込むとポカンとした顔をしている。
「皐月先生、大丈夫?」
「え、ええ……私は大丈夫よ」
「無事で良かった」
ケントが笑って、皐月先生を助け起こした。
「怪我や、痛いところはないですか?」
「うん……」
「なら、よかった。あなたが元気で笑っていてくれるのが一番嬉しいんです。じゃあ俺、次移動教室なんで失礼しますね」
そう言ってケントはさっさといなくなってしまった。
「うわ、ケントかっこいいなー」
「俺よりもか!?」
「まあ、同じくらいかな……」
「そっかあ」
「ちょ、デレデレしないでよ。そういう意味じゃないし! 皐月せんせ? 大丈夫?」
でも、皐月先生は返事をしないでケントの去って行ったほうをぼんやり眺めていた。
「皐月先生? ……ケント、かっこよかったですね?」
「……そうね。はーやあね、小僧のくせになんなのかしら……」
皐月先生は呟いて、ふらふらと行ってしまった。
ノートを抱えて追いかけると、
「あ、ありがと。ここまででいいわ」
とノートを引ったくって、早足で去って行った。
……人が人に惚れる瞬間を見てしまったらしい。
説明が丁寧だし、板書も丁寧だ。
うーん、意外。
本人に聞いたら、「ふふん」と笑われた。
「意外とか言うな小娘。元がサキュバスなんだから当たり前でしょ。相手の求めるものを察して、わかりやすくお出しするの、得意なのよ」
「ふうん。ムカつくからその垂れた胸ぶっ叩いていい?」
「いいわけあるか、この性悪聖女!」
リオンとケントが通りかからなかったら、殴り合いになっていたかもしれない。
ある日の皐月先生の授業のあと、日直だった私はノートを集めて皐月先生を追いかけていた。
「半分持ってよー」
「あーら、日直の仕事なんでしょ?」
「リオンが日直ならやらせないくせに!!」
「当たり前じゃない」
「ムキーッ!」
階段に差し掛かったところで、後ろから怒鳴り声が聞こえた。
「俺にも揉ませろよ!!」
「なに?」
怪訝な顔で皐月先生が振り返った。
や、私もわかんないです。
釣られて振り返ると、男の子が私と皐月先生目掛けて突っ込んできた。
「わ、あっ」
避けようとしたけど、ノートの重みでひっくり返った。
あれ、痛くない……?
「どう? 勇者様、かっこよかった?」
見上げると、ルイがニヤッと笑って覗き込んでた。
「……かっこよかった。あ、いや、えっと、皐月先生は?」
「だいじょーぶ、ケントがかばったから」
階段の下を覗き込むと、皐月先生を庇うケントと、さっきの男の子が先生に取り押さえられていた。
男の子は取り押さえられながらも、皐月先生に向かって怒鳴っているけど、何を言っているのか全然わからない。
私が起き上がってノートを集めている間に、男の子は連れて行かれた。
ルイと一緒に階段を降りて、皐月先生を覗き込むとポカンとした顔をしている。
「皐月先生、大丈夫?」
「え、ええ……私は大丈夫よ」
「無事で良かった」
ケントが笑って、皐月先生を助け起こした。
「怪我や、痛いところはないですか?」
「うん……」
「なら、よかった。あなたが元気で笑っていてくれるのが一番嬉しいんです。じゃあ俺、次移動教室なんで失礼しますね」
そう言ってケントはさっさといなくなってしまった。
「うわ、ケントかっこいいなー」
「俺よりもか!?」
「まあ、同じくらいかな……」
「そっかあ」
「ちょ、デレデレしないでよ。そういう意味じゃないし! 皐月せんせ? 大丈夫?」
でも、皐月先生は返事をしないでケントの去って行ったほうをぼんやり眺めていた。
「皐月先生? ……ケント、かっこよかったですね?」
「……そうね。はーやあね、小僧のくせになんなのかしら……」
皐月先生は呟いて、ふらふらと行ってしまった。
ノートを抱えて追いかけると、
「あ、ありがと。ここまででいいわ」
とノートを引ったくって、早足で去って行った。
……人が人に惚れる瞬間を見てしまったらしい。



