転生聖女〜現代日本に転生したら、勇者と魔王も同じクラスだったのでクラス替えお願いします

 放課後、図書室でリオンに勉強を教わる。

 ここ最近の小テストを確認して、間違っていた場所を説明してもらった。


「すごい、わかりやすい」

「エミリは勉強ができないのではなく、授業中聞いていないだけだからな」

「起きてらんないんだよね」

「開き直るな。次、化学の小テストは?」

「良かったよ! リオンほどじゃないかもだけど」


 そんな感じで全科目教わる。

 なんか、これだけで賢くなった気がする。たぶん気のせいだから、もうちょい真面目にやったほうがいい。

 最後に宿題をしながら、ふと顔を上げると、リオンは俯いてシャーペンを走らせていた。

 夕陽に照らされた横顔は丹精で作り物みたいにきれいだ。


「リオンは今も昔も、しっかりしてるよね」

「そんな立派なものではないんだ。僕は、臆病な魔王だから、万難を排さないと挑めないだけだよ」

「そこで魔王辞めちゃわないところが、しっかりしてると思うけど」

「エミリだって聖女を辞めなかったじゃないか」


 そうだけどさ。

 私には他に選択肢なんてなかったし。

 リオンも、そうだったのかもしれないけど。


「ねー、ここ、どういう意味?」

「それは、便覧に解説がある」


 最終下校時刻までリオンに教わった。

 明日からは、ちゃんと自分でやろう。


 
 帰ってママとごはんを食べながらテレビを見る。


「ねえ、ママ。なんで王様はリオンを敵にしようと思ったんだろうね」

「悪い方ではなかったけど、臆病なところがあったのよね。リオンは年の割に落ち着いていたから、怖かったのよ」


 ママの顔はテレビを向いてるけど、目はずっと遠くを見ていた。


「ふうん。リオン、優しいのにね」

「エミリはそう思う?」

「うん。優しくて親切で、かっこいい男の子だよ 」


 ほんと、それだけならよかったのに。


「ちょっと過保護だし、甘やかしいだから、油断すると私、ダメになりそうだよね」

「ふふ、そうなのね」


 ごはんを終わらせて部屋に戻る。

 ベッドでは黒猫と茶色い犬がくてっと寝ている。

 困ったなあ。

 どっちもふかふかで、優しくて、温かくて、どっちかなんて選べないんだ。