転生聖女〜現代日本に転生したら、勇者と魔王も同じクラスだったのでクラス替えお願いします

 帰りのホームルームが終わると、皐月先生は生徒たち……主に男子生徒に囲まれていた。

 私はルイとリオンと、廊下からその様子を眺める。


「すごいな」

「ねー、男子デレデレじゃん」

「エミリを見ている馬鹿勇者と僕も、似たような顔をしているだろ?」

「……?」

「してるだろうが。鈍いエミリかわいいなー、もうちょっとストレートに攻めようか?」

「けっこうです」


 馬鹿なやり取りをしてるうちに、男子たちが部活だなんだと去って行く。

 教室から皐月先生が出てきた。


「どーも、ごぶさたしてます」

「げえ、なんで聖女ちゃんと勇者ちゃんがここにいんのよ。お子様はさっさと帰って宿題しなさい」


 ウケる。

 教師がしていい顔じゃない。

 私とルイの後ろからリオンが顔を出した。


「話を聞かせてほしかったのだが……」

「魔王様♡ わたくしでよろしければ、閨までご一緒いたしますわ♡」

「変わり身早いなー」

「魔王様♡ まずは聖女を焼き払いますね♡」

「ダメだ。それは僕の妻にする」

「なんないよ!! それより、なんであんたがここにいるわけ? この淫行教師」

「こっちのセリフよ、クソガキ。誰が淫行教師か。まだなんにもしてないもん」

「やめないか……」


 呆れ顔のリオンが間に入る。

 ルイは飽きたらしく、あくびをして窓の外を見ている。


「いろは、だったか。なぜここに?」

「学校では皐月先生とお呼びください、真野くん♡ なぜかはわたくしもわかりませんの。目が覚めたらピチピチの女子大生でしたわ♡」

「ピチピチは死語でしょ。ババ臭さが隠せてませんよ、皐月先生」

「エミリ、やめないか」

「うるさくてよ、小娘。あ、今は聖まな板さんでしたっけ?」

「そんな名前があるか!」


 ダメだ。

 こいつとは一生仲良くできない。

 なんて言うのが一番ダメージデカいか考えてたら、廊下の向こうからケントが走ってきた。


「うわ、本当にいた。ごぶさたしてます、お美しいお姉さん」


 ケントは皐月先生を見るなり、流れるように跪いて手を取る。


「は? あ、あなた、あのときの黒魔術師!?」

「覚えていてくださって光栄です。今生で再びお目にかかれるなんて運命ですね」

「し、知らないし! ていうかわたくし、職員室に戻らないといけませんから……!」


 皐月先生は顔を真っ赤にしてケントの手を振り払うと、走り去った。

 教師が廊下を走るんじゃない。

 振り返るとケントは立ち上がって、うっとりした顔で皐月先生が去って行った方を見ていた。


「ケント、ああいうお姉さん好きなんだ?」

「いいや。俺が好きなのはあの人だ」

「あー、そう。あの、いきさつを聞いても?」

「おう、いいぜ。でも俺は部活なんだ。三人は時間平気?」


 頷くとケントが歩き出した。