転生聖女〜現代日本に転生したら、勇者と魔王も同じクラスだったのでクラス替えお願いします

 朝のホームルームで担任が


「来週から教育実習生来るから」


 と言った。

 教育実習生……大学三年だか四年だかが教員免許取得のために先生の練習をするものらしい。


「イケメンだといいなー」


 アコがのんきに言って、ユウキも


「そんなに背は高くなくていいけど、わんこ系のイケメンがいいな」


 なんて言っている。


「わんこ系のイケメンとはなんだ?」

「えっと、かわいくて甘え上手な男の子だって。こういうの」


 首を傾げるリオンに、スマホの検索結果を見せる。


「ふむ、エミリもこういうタイプを好むのか?」

「ううん、全然」

「そうか」


 リオンは嬉しそうな顔で、一限目の教科書を出していた。




 翌週、先生が教育実習生を連れてきた。


「はじめまして、皐月いろはと申します。短い間ですが、よろしくお願いします」


 女の人だった。

 ボンキュッボン!!の美人さんだ。

 アコとユウキはわかりやすくがっかりしていて、失礼だと思う。

 にしても、なんか見覚えのある人だな。

 私に学校以外に顔見知りなんていないはずだけど。

 ていうか、あんなナイスバディ、一度見たら忘れない。

 隣のリオンを見ると、目をまん丸にしていた。


「リオン?」

「エミリ、あれ」

「知り合い?」

「エミリも知っていると思うが、あれはサキュバス……」


 サキュバス……? サキュバスと言えば、魔王城で私たちの足止めをした、あの?

 言いかけていたリオンが口を閉じる。

 視線の先には皐月先生。

 ニコッと笑って人差し指を唇に当てていた。

 あっ、黙ってろってことですね!!


 ホームルームのあと、リオンを覗き込むと冷や汗をかいていた。


「だいじょぶ?」

「いや、問題なくはないが、大丈夫だ。しかしなぜあれが?」

「気になる?」

「部下だからな」

「おっぱい大きかったもんねえ」

「はあ?」


 リオンがぽかんと私を見返した。

 うう、余計なこと言った……!

 別に気にしてませんけどね!

 まな板なことなんて!!


「僕は体型で他人を評価しないし、あれのあの体型は種族によるものだから、どうとも思わない」

「そだね。ごめん。僻んだ」


 リオンはまだ首を傾げているけど、説明はしたくない。

 それに私は人間以外の種族に詳しくないけど、リオンの言うとおりならサキュバス族はみんな『ああ』なんだろう。

 ……それはそれで見てみたい気もするけど。


「エミリ」

「ん?」

「僕は、エミリの誰にでも親切なところと、イザと言うときの胆力に惚れたんだ。決して、その慎ましやかな体型にではない」

「慎ましやか言うな!!」


 ていう胆力ってなに!?

 そりゃ魔王退治なんてしてたら胆力の一つや二つ、ないとやってらんないんです!!

 ニコニコするリオンから目を逸らして、一限目の教科書を取り出す。