転生聖女〜現代日本に転生したら、勇者と魔王も同じクラスだったのでクラス替えお願いします

 ルイと出かけた日の夜、私はふわふわした犬と猫のぬいぐるみを抱えてベッドに横になっていた。

 茶色い犬はルイがゲーセンで取ってくれたもの。真っ黒の猫は前に真野さんがなんかの景品でもらったからと、譲ってくれたものだ。


「はー……」


 ある意味、平和で平均的な女子高生をしてる気がする。

 体育祭で盛り上がって、休みの日はちょっと仲のいい男の子と出かけて。

 でも、何か不安なのは何でかなあ。

 胸の奥がモヤモヤする。

 明日、ルイとリオンに聞いてみようか。

 あくびをして、起き上がる。

 疲れちゃったし、早めに寝ようかな。


 歯を磨きながらリビングに行くとママがテレビでニュースを見ていた。

 ……駅で突然人が暴れて、怪我人多数という事件だ。


「エミリの学校でも、こういうのあったんでしょ?」

「あー、うん。閉会式で暴れてる三年生いた」

「何かしらねえ。こちらの人間には、そういう習性があるのかしら」

「どうかなあ。そうならニュースにはならないんじゃない?」

「それはそうねえ」


 ニュースではそういう事件が増えていること、カウンセリングや電話相談の案内を伝えている。

 ママは首を傾げて、コーヒーを飲んでいた。

 私はうがいをして、ママにおやすみを言いにリビングに戻る。


「ルイくんとのデート、楽しかった?」

「えっ、んー、まあまあ?」

「付き合う気になった?」

「そ、そこまではなってない」

「今度リオンくんともデートしてあげなさいよ」

「なんで!? ていうか、ママ、野次馬しないでよ、もー! おやすみ!」

「総一朗さんがやきもきしてたのよ。はい、おやすみなさい」


 アハハと笑って手を振るママにしかめ面して、自分の部屋に戻った。

 ルイとのデートはそりゃ、楽しくなくはなかったけどさ。

 付き合うとか、そういうのじゃないし。

 ずっと一緒に旅してたから、今更ルイと恋人? っていうのはピンとこないんだよね。

 恋人って何するの。キスとか? デートも手つなぐ?

 る、ルイとキスするのは……よく、わかんないな。

 別に嫌じゃないけど…。

 いやいやいや、何考えてるの。

 寝よう。

 付き合わないし、デートもキスもしないから。


 ……しないよ。

 ベッドの上の犬と猫を抱えて目を閉じた。