「エミリおはよう。今日もかわいいなー」
「普通でしょ」
「普通にしてるのが一番かわいいんだよ。あ、リリアさん、お久しぶりです!!」
体育祭の代休の日の朝。
うちに迎えに来たルイは満面の笑みで私の手を取った。
「久しぶりね、ルイくん。今日はエミリとデートでしょう? がんばってね」
「ちょ、ママ!」
「はい! エミリのこと楽しませます!」
「うんうん。今度はちゃんと家に返してくれればいいから 」
前世では魔王を倒すときに全滅して帰宅できなかったからね。
いつも元気で明るいルイの顔が青ざめた。
でも、すぐに真面目な顔でリリアママを見つめた。
「エミリは必ずここに帰します。この家が、エミリの帰る場所である限り、必ず」
「そう。じゃあ、二人とも行ってらっしゃい。楽しんできてね」
リリアママがニコッと笑って手を振った。
ルイもホッとした顔で手を振り返す。
私はルイに手を引かれて家を出た。
「そういやさ、エミリは父親はいないんだっけ?」
「うん。今も私は孤児だったから。リリアママが乳児院から私を引き取ってくれて、二人で暮らしてるよ」
「ふうん。つーか、リリアさん何してるの? 仕事に行ってる想像ができないんだけど」
「なんかねー、リリアママのご両親がお金持ちだったけど、不慮の事故で亡くなって、ママが財産と土地を引き継いで管理してるって聞いたよ」
その土地の実質的な管理をリオンパパの真野さんが勤める不動産屋でやっている。
ママは今住んでるとこと、いくつかのマンションの管理人さんをやってて、不動産屋の担当が真野さんらしい。
それにしても、真野さんはうちに顔を出し過ぎな気もするけど。
昨晩も、リオンが体育祭で全然やる気なかったことを愚痴って言った。
「そっか。エミリが困ってないならいいんだ。あ、ここ」
ルイが立ち止まったのは大きなアミューズメントパークの前だった。
平日だから、そんなに混んでなさそう。
「ボウリングと卓球とダーツとゲーセン、どれから行く?」
「えっとじゃあ、ボウリング」
「オッケー、こっち」
二人でボールを選ぶ。
ルイはやったことがあると言うから、お手本を見せてもらう。
「上手だね」
「エミリもやろうよ」
言われたとおりに投げるけど、なかなか真っ直ぐに転がらない。
「腕を真っ直ぐに引くといいよ」
ルイの体が近い。
体格差にソワソワしちゃうから、そのゲームが終わったら卓球に移動。
卓球は良かったけど、ダーツも近い!
ダーツの矢を持つ手を、ルイが後ろから握った。
反対の手がお腹のあたりを抱きしめて、耳元に熱い息がかかった。
「あの、ルイ? 近くない?」
「教えようとしたらどうしてもね。まあわざとなんだけど」
「もー、ノーです。ノー!」
「好きな子にはくっつきたいだろ。本当は帰したくないし」
抱きしめる手に力が入った。
体がピッタリくっついて、熱い。
「離れて」
「俺のこと、嫌い?」
「嫌いじゃないけど。あの、ごめん、まだ、そういうふうには見られないし」
「うん」
「さすがにこんなとこで、抱きしめられるのは恥ずかしいから、離れて」
「ん、わかった」
心臓が爆発しちゃうんじゃないかってくらい、うるさい。
やっと離れたルイが私を前から覗き込んだ。
「まだ、ってことは、いつかは俺のことそういうふうに見てよ。エミリのこと、前世からずっと好きなんだ」
「わ、わかんないよ、そんなの。約束なんてできない」
「いいよ。今はそれで十分。今はね」
ルイはニヤッと笑ってダーツの矢を投げる。
矢は真っ直ぐに飛んで、真ん中を射抜いた。
「普通でしょ」
「普通にしてるのが一番かわいいんだよ。あ、リリアさん、お久しぶりです!!」
体育祭の代休の日の朝。
うちに迎えに来たルイは満面の笑みで私の手を取った。
「久しぶりね、ルイくん。今日はエミリとデートでしょう? がんばってね」
「ちょ、ママ!」
「はい! エミリのこと楽しませます!」
「うんうん。今度はちゃんと家に返してくれればいいから 」
前世では魔王を倒すときに全滅して帰宅できなかったからね。
いつも元気で明るいルイの顔が青ざめた。
でも、すぐに真面目な顔でリリアママを見つめた。
「エミリは必ずここに帰します。この家が、エミリの帰る場所である限り、必ず」
「そう。じゃあ、二人とも行ってらっしゃい。楽しんできてね」
リリアママがニコッと笑って手を振った。
ルイもホッとした顔で手を振り返す。
私はルイに手を引かれて家を出た。
「そういやさ、エミリは父親はいないんだっけ?」
「うん。今も私は孤児だったから。リリアママが乳児院から私を引き取ってくれて、二人で暮らしてるよ」
「ふうん。つーか、リリアさん何してるの? 仕事に行ってる想像ができないんだけど」
「なんかねー、リリアママのご両親がお金持ちだったけど、不慮の事故で亡くなって、ママが財産と土地を引き継いで管理してるって聞いたよ」
その土地の実質的な管理をリオンパパの真野さんが勤める不動産屋でやっている。
ママは今住んでるとこと、いくつかのマンションの管理人さんをやってて、不動産屋の担当が真野さんらしい。
それにしても、真野さんはうちに顔を出し過ぎな気もするけど。
昨晩も、リオンが体育祭で全然やる気なかったことを愚痴って言った。
「そっか。エミリが困ってないならいいんだ。あ、ここ」
ルイが立ち止まったのは大きなアミューズメントパークの前だった。
平日だから、そんなに混んでなさそう。
「ボウリングと卓球とダーツとゲーセン、どれから行く?」
「えっとじゃあ、ボウリング」
「オッケー、こっち」
二人でボールを選ぶ。
ルイはやったことがあると言うから、お手本を見せてもらう。
「上手だね」
「エミリもやろうよ」
言われたとおりに投げるけど、なかなか真っ直ぐに転がらない。
「腕を真っ直ぐに引くといいよ」
ルイの体が近い。
体格差にソワソワしちゃうから、そのゲームが終わったら卓球に移動。
卓球は良かったけど、ダーツも近い!
ダーツの矢を持つ手を、ルイが後ろから握った。
反対の手がお腹のあたりを抱きしめて、耳元に熱い息がかかった。
「あの、ルイ? 近くない?」
「教えようとしたらどうしてもね。まあわざとなんだけど」
「もー、ノーです。ノー!」
「好きな子にはくっつきたいだろ。本当は帰したくないし」
抱きしめる手に力が入った。
体がピッタリくっついて、熱い。
「離れて」
「俺のこと、嫌い?」
「嫌いじゃないけど。あの、ごめん、まだ、そういうふうには見られないし」
「うん」
「さすがにこんなとこで、抱きしめられるのは恥ずかしいから、離れて」
「ん、わかった」
心臓が爆発しちゃうんじゃないかってくらい、うるさい。
やっと離れたルイが私を前から覗き込んだ。
「まだ、ってことは、いつかは俺のことそういうふうに見てよ。エミリのこと、前世からずっと好きなんだ」
「わ、わかんないよ、そんなの。約束なんてできない」
「いいよ。今はそれで十分。今はね」
ルイはニヤッと笑ってダーツの矢を投げる。
矢は真っ直ぐに飛んで、真ん中を射抜いた。



