今日は体育祭本番。
リリアママがお弁当を作ってくれたので、私はうっきうきて家を出てきた。
ちなみにリオンのお弁当もリリアママ作。
今朝、元魔王の側近で現リオンパパの総一朗さんが取りに来た。
なんていうか、仲がいいんだよね、リリアママと総一朗さん。
普段からけっこう行き来があるっぽいし、総一朗さんはママを見るとデレデレになるし。
それはさておき、体育祭だ。
「リオン、遅……」
ルイが呆然とつぶやいている。
今はあめ食い競争をしてて、リオンが走り終わったところだけど、余裕のビリだった。
身長百八十センチのすらりとしたイケメンがこんなに鈍くさいのは、どういうことだろう?
なぜか他のクラスの女子からはキャーキャー応援されてたけど。
「酷い目にあった……」
「お帰り。顔、粉だらけだよ」
リオンが顔をしかめて、席に戻ってきた。
魔王の貫禄の欠片も無い。
肩にかけていたタオルで顔を拭いて上げると、そのまましがみつくから、私の髪まで白くなった。
「おい、離れろ陰険魔王! このむっつり!」
「嫌だ。これくらいの役得がないと参加した意味がない」
「意味わかんないから! あと汗臭いから離れて」
「む、それはすまない」
ムスッとした顔でリオンが離れる。
魔王どころか普通の高校生の男の子で、ちょっとかわいいかもしれない。
「あ、俺百メートル走行かねえと。エミリ! 約束忘れんなよ」
「はいはい」
「約束?」
駆け出すルイを見送っていたら、リオンが首をかしげた。
「あー、なんか、今日出場する競技で、全部一位だったらデートしてくれって言われた」
「なっ。やはり体育祭など滅ぼすべきだ」
また物騒なことを言いながらリオンがもたれかかってきた。
「いやいやいや。ていうか、リオン甘えたがりだよね。重いんだけど」
「……前世では他人に甘えることなどできなかったからな」
「あー」
「それは、エミリもそうだったんじゃないのか?」
「どう、かな」
なんか、痛いところを突かれた気がする。
違う。
痛いところじゃなくて、柔らかいところっていうか。
男子の百メートル走が始まる。
第一走者のルイはぶっちぎりの一位で、満面の笑みで戻ってきた。
「エミリ! 見ててくれた? 一位だった!」
「うん。おめでと。やっぱりルイは早いね」
「当たり前だろ。俺は勇者だからさ。誰よりも先に駆けつけないとといけねえんだ」
……だから、いつも一人で走って行っちゃうの?
後ろで援護する身にもなってほしいって思ってたけど、たぶん私は一番先に行かなきゃいけない人の気持ちを考えたことはなかった。
「リオン、近えよ、離れろ!」
「嫌だ!!!」
「ルイ」
「ん?」
「ありがと、いつも守ってくれて」
「何言ってんだ。エミリが背中にいてくれたから、俺は前に立てるんだ。ありがとうはこっちの台詞だよ」
ルイの笑顔が眩しくて、ちょっと滲んで見えた。
リリアママがお弁当を作ってくれたので、私はうっきうきて家を出てきた。
ちなみにリオンのお弁当もリリアママ作。
今朝、元魔王の側近で現リオンパパの総一朗さんが取りに来た。
なんていうか、仲がいいんだよね、リリアママと総一朗さん。
普段からけっこう行き来があるっぽいし、総一朗さんはママを見るとデレデレになるし。
それはさておき、体育祭だ。
「リオン、遅……」
ルイが呆然とつぶやいている。
今はあめ食い競争をしてて、リオンが走り終わったところだけど、余裕のビリだった。
身長百八十センチのすらりとしたイケメンがこんなに鈍くさいのは、どういうことだろう?
なぜか他のクラスの女子からはキャーキャー応援されてたけど。
「酷い目にあった……」
「お帰り。顔、粉だらけだよ」
リオンが顔をしかめて、席に戻ってきた。
魔王の貫禄の欠片も無い。
肩にかけていたタオルで顔を拭いて上げると、そのまましがみつくから、私の髪まで白くなった。
「おい、離れろ陰険魔王! このむっつり!」
「嫌だ。これくらいの役得がないと参加した意味がない」
「意味わかんないから! あと汗臭いから離れて」
「む、それはすまない」
ムスッとした顔でリオンが離れる。
魔王どころか普通の高校生の男の子で、ちょっとかわいいかもしれない。
「あ、俺百メートル走行かねえと。エミリ! 約束忘れんなよ」
「はいはい」
「約束?」
駆け出すルイを見送っていたら、リオンが首をかしげた。
「あー、なんか、今日出場する競技で、全部一位だったらデートしてくれって言われた」
「なっ。やはり体育祭など滅ぼすべきだ」
また物騒なことを言いながらリオンがもたれかかってきた。
「いやいやいや。ていうか、リオン甘えたがりだよね。重いんだけど」
「……前世では他人に甘えることなどできなかったからな」
「あー」
「それは、エミリもそうだったんじゃないのか?」
「どう、かな」
なんか、痛いところを突かれた気がする。
違う。
痛いところじゃなくて、柔らかいところっていうか。
男子の百メートル走が始まる。
第一走者のルイはぶっちぎりの一位で、満面の笑みで戻ってきた。
「エミリ! 見ててくれた? 一位だった!」
「うん。おめでと。やっぱりルイは早いね」
「当たり前だろ。俺は勇者だからさ。誰よりも先に駆けつけないとといけねえんだ」
……だから、いつも一人で走って行っちゃうの?
後ろで援護する身にもなってほしいって思ってたけど、たぶん私は一番先に行かなきゃいけない人の気持ちを考えたことはなかった。
「リオン、近えよ、離れろ!」
「嫌だ!!!」
「ルイ」
「ん?」
「ありがと、いつも守ってくれて」
「何言ってんだ。エミリが背中にいてくれたから、俺は前に立てるんだ。ありがとうはこっちの台詞だよ」
ルイの笑顔が眩しくて、ちょっと滲んで見えた。



