「くくく、見てみろ華狐の絶望した顔を。血のつながった叔父に売られた気持ちはどんなものだ?」
男の鋭い視線が向けられて、芹香は身体をびくつかせる。寒気に見舞われて、自分の身体を抱きしめた。山を駆け下りてかいた汗が、洞窟の冷気と恐怖で一気に冷えたようだ。その様子を見て、男は喉を鳴らす。
芹香の前に片膝をつき、そこで初めて男の顔がはっきりと見えた。目はまるで蛇のように瞳孔が細く、鼻は豚のようにつぶれて上を向き、口からは犬歯のような鋭い歯が覗いていた。毛に覆われた猿のような顔は、周りを囲う妖怪と同じだ。
「いい顔だ、その顔がもっと歪むさまが見たくなった。お前、霊狐の所にいればよかったものを、わざわざ自ら山を下りてくるほど親の死が気になるのか」
その言葉に、芹香は目を見開く。さっきの話で、あの手紙は叔父が自分をおびき出すために書いた嘘だと思ったが、男は両親の死についてなにか知っているように聞こえた。
「なに、を……知っているというの……」
これまで感じたことのないほどの恐怖や不安で、体中の血液がどくどくと波打ち、全身を駆け巡る。なのに、手足からは熱が失われて感覚がない程に冷たくなり、ますます震えが止まらない。
「俺たちは鵺という妖の一族で、霊力の高い生き物の血が好物でな」
「ぬえ……」
「美味い餌を手に入れるために、人間の願いを叶えてやることも多々あるのだ」
「餌……?」
思考が追い付かない芹香は、鵺の言葉を繰り返すことしかできない。
「あの時も世話になったなぁ。──お前の叔父には」
なにを、言っているのか……。
芹香は賢明に鵺の言葉の意味を咀嚼していく。芹香が理解するよりも先に鵺は言葉を続けた。
男の鋭い視線が向けられて、芹香は身体をびくつかせる。寒気に見舞われて、自分の身体を抱きしめた。山を駆け下りてかいた汗が、洞窟の冷気と恐怖で一気に冷えたようだ。その様子を見て、男は喉を鳴らす。
芹香の前に片膝をつき、そこで初めて男の顔がはっきりと見えた。目はまるで蛇のように瞳孔が細く、鼻は豚のようにつぶれて上を向き、口からは犬歯のような鋭い歯が覗いていた。毛に覆われた猿のような顔は、周りを囲う妖怪と同じだ。
「いい顔だ、その顔がもっと歪むさまが見たくなった。お前、霊狐の所にいればよかったものを、わざわざ自ら山を下りてくるほど親の死が気になるのか」
その言葉に、芹香は目を見開く。さっきの話で、あの手紙は叔父が自分をおびき出すために書いた嘘だと思ったが、男は両親の死についてなにか知っているように聞こえた。
「なに、を……知っているというの……」
これまで感じたことのないほどの恐怖や不安で、体中の血液がどくどくと波打ち、全身を駆け巡る。なのに、手足からは熱が失われて感覚がない程に冷たくなり、ますます震えが止まらない。
「俺たちは鵺という妖の一族で、霊力の高い生き物の血が好物でな」
「ぬえ……」
「美味い餌を手に入れるために、人間の願いを叶えてやることも多々あるのだ」
「餌……?」
思考が追い付かない芹香は、鵺の言葉を繰り返すことしかできない。
「あの時も世話になったなぁ。──お前の叔父には」
なにを、言っているのか……。
芹香は賢明に鵺の言葉の意味を咀嚼していく。芹香が理解するよりも先に鵺は言葉を続けた。

