その山奥の村には、しきたりがあった。

 百年に一度、雲の神に生贄を捧げるのだ。

 此度、選ばれたのはユイという少女だった。


「ユイ、これは神聖な儀式である。身を清め、雲神様にその身を捧げるのだ」

「はい、心得ております。司祭様」


 薄青い空には、白い雲がたなびいている。