蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

問い返す間もなく、
エルフリーデは祈りの印を結び、
古代王家の法術を発動させた。
宮殿の床が蒼い光に包まれ、
守護騎士団の封印陣が展開する。

「千年先で……再び会いましょう。
 セドリクス。あなたの誓いを、私は信じているわ」

彼女の指先が頬に触れた。
最初で最後の、触れ合い。

次の瞬間――
世界は蒼光に溶け、
セドリクスの意識は深い深い闇へ沈んでいった。




どれほどの時間が経ったのか。
閉ざされた意識の奥底で、
ただひとつの想いだけが燃え続けていた。

 ――姫を守る。
 ――約束の姫が現れれば、私は必ず目覚める。

やがて、封印の鎖にひびが入る音がした。

光が差した。
風が吹いた。
そして……足音が、近づいてきた。

かすかな震え。
心臓が久方ぶりに脈を打つ。

(……これは……姫の……気配……?)

しかし、それはあり得ない。
エルフリーデはもういないのだから。

それでも――
千年前と変わらぬ、あの“蒼銀の気配”が胸を刺した。