蒼銀の王女と誓約の騎士〜生贄として連れてこられた神殿で、千年の眠りから覚めた騎士と出逢いました〜

「……あれ?」

視界の端で、空が震えた。
遥か昔の記憶の残滓のように、
蒼い光が揺らいだ。

そして、誰かの声が重なる。
〈エルフリーデ……〉
〈必ず迎えに行く。今度こそ……〉

その頃、
エリシアが向かっている神殿では
大地が低く唸り、鳴動し、
何かが――目覚めた。

遥か千年前、
ひとりの王女の願いと共に封印された
“誓約の守護騎士”。
遥かなる時を眠り続けていた騎士、
セドリクス。

封印の奥深く、
闇に沈んでいた彼の瞼が震える。

そして――

「……エルフリーデ……?
 いや――違う……この気配は……」

遠い血の残響に呼ばれ、
彼は千年の眠りからゆっくりと目を開いた。

蒼銀の王女が、再びこの世に現れたのだ。

それが
“エリシア”と“セドリクス”の物語の始まりだった。