雨の王妃 ~私を押しのけて自分が聖女だと言ったくせに、失敗したら、生贄になると聞いた途端、私が聖女だと言ってきました~

「聖女とは王の妃となる者だ。
 二人も現れて揉めた記録などない。

 側女ならともかく、妃は我が国では一人だ。
 間違いない」

「えっ?
 聖女だったら、あなたの妻になれるのですか?
 この国の妃にっ?」
とリラのテンションが上がる。

「麻田さん、妃って言っても、なんか時代が古いですよ。
 たぶん、現代で平民の方が贅沢に暮らせますよ」

「なに言ってんのよっ。
 王様の奥さんよ。お姫様だわっ」

 ……お妃様では?

「そんなの滅多になれるもんじゃないわよっ」
 リラは希少性に価値を見出す人種らしい。

「それで、どちらが聖女なのだ?」
 石造りの神殿に響く声で王が問うてくる。

「はいはいっ、私ですっ、王様っ」
とリラが飛び跳ねるように手を挙げた。

「私、紛れもない雨女ですっ
 幼稚園から高校まで、入学式も卒業式も体育祭も、どんなイベントも大雨ですからっ」

「……麻田さんのせいだったんですか、あの大雨は」
「なんで突然、恨みの目線を向けてくるのよ」