「いやー、びっくりしたなぁ」
言葉に追いついているとは言い難いトーンで発された声が、静かな夜の廊下に響く。
鍵を持って訪ねた203号室の扉の隙間から姿を見せた石田さんは、右側の髪をわずかに跳ねさせていた。
「お騒がせしてすみませんでした。場所も、ありがとうございました」
「俺は何も。鍵も、ご丁寧にどうも。……ほんで、大丈夫やった?」
いつもの軽い調子で聞かれて、わたしは曖昧に笑う。
「大丈夫かと聞かれると、微妙かなぁ」
「はは、何やそれ」
差し出された手に、桜のチャーム付きの鍵を丁寧に置く。
石田さんは、存在を確かめるようにしてそれをそっと握り締めた。
「あの人は、部屋におるん?」
「……いえ。京都駅にホテルをとってるらしくて、さっき帰りました」
「帰ったんか帰したんか、どっち?」
悪戯な笑みを浮かべる石田さんに、強張っていた表情が思わず緩む。
石田さんといると、お兄ちゃんがいればこんな感じなのかなぁなんて思う。
言葉に追いついているとは言い難いトーンで発された声が、静かな夜の廊下に響く。
鍵を持って訪ねた203号室の扉の隙間から姿を見せた石田さんは、右側の髪をわずかに跳ねさせていた。
「お騒がせしてすみませんでした。場所も、ありがとうございました」
「俺は何も。鍵も、ご丁寧にどうも。……ほんで、大丈夫やった?」
いつもの軽い調子で聞かれて、わたしは曖昧に笑う。
「大丈夫かと聞かれると、微妙かなぁ」
「はは、何やそれ」
差し出された手に、桜のチャーム付きの鍵を丁寧に置く。
石田さんは、存在を確かめるようにしてそれをそっと握り締めた。
「あの人は、部屋におるん?」
「……いえ。京都駅にホテルをとってるらしくて、さっき帰りました」
「帰ったんか帰したんか、どっち?」
悪戯な笑みを浮かべる石田さんに、強張っていた表情が思わず緩む。
石田さんといると、お兄ちゃんがいればこんな感じなのかなぁなんて思う。



