君のとなりで、恋をする

──ベンチの美月。


スコアシートに視線を落としながら、笑みを浮かべたまま、ほんの一瞬だけ表情が固まる。

ちら、と視線の先には、タオルを並べる翠と、その向こうにいる煌大。


「……これ以上、踏み込まれたら困るんだけどな」


誰にも聞こえないくらいの小さな声でつぶやき、タオルを丁寧に畳み直す。

目の奥にかすかな陰りを宿したまま、誰にも気づかれないように呼吸を整える。

視線は煌大に向けられていたが、次の瞬間には何でもないふうに逸らした。


(あの子は悪くない。わかってる。……わかってるけど)


胸の奥でざらりとした感情が、静かに身じろぎする。