君のとなりで、恋をする

──同じころ。


コートの端では、大和がいつもより荒々しい声を張り上げていた。


「もっと集中しろよ! そこルーズだって!」


ボールを叩く音も強く、パスを受ける手が少し乱暴になる。

ジャンプして着地するたび、床がいつもより大きく鳴る気がする。

額の汗を乱暴にぬぐい、歯を食いしばる仕草。

その瞳は、ちらり、ちらりと翠を追っていた。


(……見ないようにしろよ、集中)


自分に言い聞かせるように、さらに声を張る。

胸の奥で渦巻く苛立ちを押さえ込むように、ボールを拾い上げる指先に、無意識に力がこもっていた。

本当は知っている。

あのとき、一歩早く動けなかったのは、自分だということを。