君のとなりで、恋をする

──休み時間。


「翠、なんか今日、顔赤くない?」


隣から身を乗り出してきた莉子が、じっと覗き込んでくる。

細い指先で、私のほっぺをつつくふりまでしてきて、思わず身を引いた。


「えっ!? そ、そんなことない!」

「うそ。さっきからぼーっとしてたし」


慌てて否定すると、莉子はふっと小さく笑って肩をすくめた。


「昨日の結城先輩、めちゃかっこよかったよね! 翠、今、心臓ヤバいでしょ」

「なっ……! そ、そんなこと……!」


言いかけた声が裏返って、顔が一気に熱くなる。

机の下でスカートの裾を握りしめ、うつむくしかなかった。


(落ち着かなきゃ、ほんとに……)


図星を刺されたみたいで何も言えない。

胸の奥がじんじん熱くて、余計に言い返せなかった。


「ごめんごめん、いじってるわけじゃないからね?」


莉子が小声でつけ足す。


「なんか、嬉しそうだったからさ。……変なこと言われたら、ちゃんと言ってよ?」


覗き込む瞳は、からかいよりも心配の色が濃くて。

その優しさに、少しだけ呼吸がしやすくなった。