君のとなりで、恋をする

(落ち着かなきゃ……)


鉛筆を握る指が、かすかに震える。

ページをめくっても、視線は同じ行を行ったり来たりするばかり。

頭に入ってくるのは、黒板の文字じゃなくて――昨日の「頭ポン」が、まだ鮮明に残っていた。

手の感触。

あの距離。

あの笑顔。


(あの顔……絶対、冗談じゃなかった。
 気のせい、じゃないよね……?)


自分で考えておいて、自分で慌てる。

胸がざわついて仕方がない。

頬の内側をそっと噛みながら、ノートの端を無意味にめくってごまかす。

前の席の子の話し声も、先生が入ってくる気配も、どこか遠くに聞こえる。

チャイムが鳴っても、姿勢を正しただけで、意識は半分以上ぼんやりしたままだった。