君のとなりで、恋をする

──翠は気づかない。

ただ、散らばった荷物を抱え直しながら、胸の鼓動が止まらないことに戸惑っていた。


(え?! 何これ!? なんで……なんで、結城先輩が私に……)


さっき触れた手の重みが、まだ頭に残っていた。

視界の端で、先輩たちがひそひそと笑っているのが見えて、ますます心臓が暴れ出す。

顔を上げる勇気が出なくて、翠はうつむいたまま、震える指先でノートをぎゅっと抱きしめた。