君のとなりで、恋をする

──放課後の帰り道。


校門を出ると、自然に大和くんが隣に並んだ。


「翠ちゃんみっけ~! 一緒に帰ろ!」

「うん、いいけど……」

「やっぱ翠ちゃんといると落ち着くわ」


あまりに自然に言うから、思わず吹き出した。


「なにそれ〜。冗談でしょ?」

「本気だって」


真剣な瞳。

私は笑いながら受け流すしかなかった。

胸の奥に小さな違和感を残したまま。


──その時。


前方から自転車を押しながら歩いてくる結城先輩の姿。

ちらりとこちらを見て、低い声で言った。


「……大和、マネージャー困らせんなよ」

「え、困らせてませんよ!な、翠ちゃん?」

「えっ!? べ、別に……」


しどろもどろに答える私。

守られたような気がして、でも胸は落ち着かない。


大和くんは得意げに笑うけど、結城先輩は片眉を上げてにやりと笑った。


「そうか。ならいいけどな」


いつもの余裕をまとった声音。

けれどその奥に、ほんの少し違う色が混じっている気がした。


──その直後。


「煌大〜! あ、やっぱりいた!」


軽やかな声が響く。

振り向けば、美月先輩が駆け寄ってくる。


「一緒に帰ろ」


美月先輩が、当然のように結城先輩の隣に並ぶ。

結城先輩は一瞬こちらを見てから、何でもないように「行くか」とだけ言って歩き出した。

その横顔を見た瞬間、胸の奥がきゅっと縮む。

けれどその理由を、自分でもうまく言葉にできなかった。