君のとなりで、恋をする

──昼休み。食堂横の自販機。


財布をガサガサ探すけれど、小銭がなかなか見つからない。

スマホ決済もまだ登録してなくて、焦っていると――


「ほら、俺が出しとくって」


大和くんが自分のスマホをかざして、ピッと音が鳴った。


「えっ!? だ、だめだよ!」


慌てて止めようとする私に、大和くんは得意げに笑う。


「じゃあ次、なんか奢って。約束な?」

「も〜、ほんと調子いいんだから」


笑いながら返す私。

胸の奥が少しあたたかくなる。

そのやり取りを、後ろから明るい声が遮った。


「相変わらず仲いいね、二人」


振り返れば、美月先輩と、その隣に結城先輩。


「えっ!? そ、そんなことないです!」


慌てて否定する私の横で、大和くんはにやっと笑って、


「そうなんです、めちゃ仲良いんです、俺たち」


結城先輩は何も言わず、表情を変えなかった。

けれど、その瞳の奥ではわずかな揺らぎが生まれていた。

翠は気づかない。

ただ胸の奥に、説明できないざわめきだけを残していた。