初めてタイムリープしたあの日から、数日が経った。
こっちに戻っても、あの出来事の驚きはまだ消えていない。

わたしは今日、透くんと《《今後の活動》》について話すため、中庭で待ち合わせをしていた。

……と言っても、約束の時間より、一時間も早く来ちゃってる。

「……早かったな」
「う、うん……でも、家にいても落ち着かなくて……」

そんな言い訳を口にした直後、約束の時間ぴったりに、透くんが姿を現した。
来るのはわかってたけど、やっぱりドキッとしてしまう。

「待った?」
「ううん、さっき来たところ」

とっさに口にしたそのウソは、あっさり見抜かれた気がしたけど、
透くんは何も言わず、そのまま静かに話し始めた。

「ねえ凛花、最初は《《高いところ》》に行ってみよう」

ベンチの隣、微妙な距離に座った透くんが、決めてきたようにそう言った。

「高いところ……って、学校の屋上とか?」

「いや、学校の裏山。十喜声山(ときこえやま)ってところ。そんなに高くないけど、上まで登れば陽岬市(ひみさきし)が一望できる」

「へえ……裏山なんてあったんだ……」

ふたりで謎を解き明かすんだから、透くんと一緒にどこかに出かけることになるのは、わかってたけど……それが嬉しい反面、逃げ出したいくらい勇気のいることで、わたしは戸惑っていた。

「なんか……いいかも。高い場所って、中庭より涼しそうだし!」

そう言いながら、胸の音が耳の中では大音量で響いていた。