帰り道、ふたりで静かに歩きながら、駄菓子屋に戻る。
かき氷を手に取りながら、今日のこと、この夏のことを楽しく語り合った。
「この夏のかき氷は、これで最後だね」
わたしは紙コップに盛られたかき氷を、太陽に透かして見た。
山吹色の氷が、水色の空に輝いている。
「……今年最後だと思うと、食べるのがもったいなくなってくるな」
透くんも紙コップを掲げて、そう言っている。
「来年の夏休みも……一緒にかき氷、食べようね!」
精一杯の言葉。来年も、一緒に居たいって、言ったつもりだった。
「……約束だ、また来年の夏も、俺と凛花と、この場所で」
いつものベンチに座って、心なしかいつもより近くに透くんを感じながらかき氷を食べるふたりの間に、何かが起きそうな沈黙が訪れた。
伝えたい気持ちはあるのに、どうしても言葉にする勇気が出てこない。
口を開こうとして、でも結局、また飲み込んでしまった。
透くんの横顔を見ながら、わたしは心の中でそっと言った。
――『好きだよ』って。
声には出せなかったけど、気づいてほしかった。
透くんも、何か言いかけて、やめたみたいに見えた。
……わたしたち、きっと同じ気持ちなのに。
でもそれを伝えるには、ちょっとだけ、夏休みが足りなかった。
かき氷を手に取りながら、今日のこと、この夏のことを楽しく語り合った。
「この夏のかき氷は、これで最後だね」
わたしは紙コップに盛られたかき氷を、太陽に透かして見た。
山吹色の氷が、水色の空に輝いている。
「……今年最後だと思うと、食べるのがもったいなくなってくるな」
透くんも紙コップを掲げて、そう言っている。
「来年の夏休みも……一緒にかき氷、食べようね!」
精一杯の言葉。来年も、一緒に居たいって、言ったつもりだった。
「……約束だ、また来年の夏も、俺と凛花と、この場所で」
いつものベンチに座って、心なしかいつもより近くに透くんを感じながらかき氷を食べるふたりの間に、何かが起きそうな沈黙が訪れた。
伝えたい気持ちはあるのに、どうしても言葉にする勇気が出てこない。
口を開こうとして、でも結局、また飲み込んでしまった。
透くんの横顔を見ながら、わたしは心の中でそっと言った。
――『好きだよ』って。
声には出せなかったけど、気づいてほしかった。
透くんも、何か言いかけて、やめたみたいに見えた。
……わたしたち、きっと同じ気持ちなのに。
でもそれを伝えるには、ちょっとだけ、夏休みが足りなかった。
