知ってる街なのに、ぜんぜん違う雰囲気のアーケードを時間を忘れて楽しんで、すっかり満足していた、帰り道。

「……駄菓子屋に着くまで、持たなかったか」

「うわっ、夕立!? こんなに降るの!?」

最初のぽつり、に続いて、あっという間にざあっと大粒の雨が降ってきた。

「こっち!」

透くんが手を引いて、近くにあった図書館の軒下へと駆け込む。
一瞬だけ繋いだ手の感覚は、離れてから――心に届いた。

「すっ、すごい雨だね!――びしょ濡れだよ……」

服は思ったよりも濡れていて、わたしは胸元をそっと押さえた。下着じゃないけど、キャミソールが透けてしまってるのは、うう、ちょっと恥ずかしいかも。

「ちょ、ちょっと見ないでね……」

「見てないよ」

透くんはいつものクールな声でそう言ったけど、わたしの顔はどんどん熱くなる。