なんだ、そういうことなら、全然いいじゃん。
理由はちょっと違うけど、透くんも、わたしと一緒に居たいんだし……、
つまり……ということは……

——この夏休みは、透くんと居られるってこと!

「うんっ、そういうの、わたし、めっちゃ好き!」

自分でもちょっとはしゃぎすぎたかと思って、照れくさく笑ってごまかす。

それって、まるで——

「……デートみたいなもの?」

テンションが上がっちゃったのを隠そうとした言葉を聞いて、透くんは少し驚いたような顔をしたあと、まっすぐわたしを見て言った。

「……そうだな。だったら、次は浴衣デートとか?」

少しだけ笑って、わたしの目をのぞきこむ。

「えっ…浴衣でどこに行くの?」

「それは、また今度教えてあげる」

ちょっといじわる。でも優しい。そんな透くんに、また少し惹かれてしまう。

胸の音が大きくて、吹き抜ける風の声が遠くなった。
今年の夏は、きっと、忘れられない夏になる——ぜったいにそうだ。