夏休みの午後。
空はどこまでも水色で、アスファルトの照り返しだけでも日焼けしそう。
麦茶を飲んでも、ハンディファンを使っても、この暑さは和らがない。
でも、この胸の高鳴りを抑えるのに必死で、夏の厳しさなんか気にならなかった。
わたし——白川 凛花は、あまり賑わってない駅前の商店街へと足を運んでいた。目的は、ほんのわずかな《《可能性》》だ。
「……もしかしたら、偶然、彼に会えちゃったりして? いやいや、あるわけないよね。いや、でもゼロじゃないし……!」
自分で言っておきながら、赤面して一人で首を振る。
完全に怪しい人じゃん、わたしってば、ほんと炎天下で何してんの……

彼とは、同じ高校の2年生、蒼木 透。
ふつうに席も離れてるし、中学も別だったし、ただ同じクラスってだけ。
……でも、あのときから、なんか気になっちゃってる。
あのときとは、体育祭の実行委員に選ばれて、少しだけ一緒に準備をしたとき。
わたしがプリントをぐちゃぐちゃにしちゃって焦ってたら、
何も言わずに、予備のを渡してくれた。
目立つわけじゃないのに、進行もまとめてくれてて。
あのときの背中が、ずっと頭に残ってる。
なんでだろう。
ただ『優しかった』とか『頼りになった』とか、そういう言葉じゃ足りない感じ。
気づいたら、視線が勝手に追いかけてた。
空はどこまでも水色で、アスファルトの照り返しだけでも日焼けしそう。
麦茶を飲んでも、ハンディファンを使っても、この暑さは和らがない。
でも、この胸の高鳴りを抑えるのに必死で、夏の厳しさなんか気にならなかった。
わたし——白川 凛花は、あまり賑わってない駅前の商店街へと足を運んでいた。目的は、ほんのわずかな《《可能性》》だ。
「……もしかしたら、偶然、彼に会えちゃったりして? いやいや、あるわけないよね。いや、でもゼロじゃないし……!」
自分で言っておきながら、赤面して一人で首を振る。
完全に怪しい人じゃん、わたしってば、ほんと炎天下で何してんの……

彼とは、同じ高校の2年生、蒼木 透。
ふつうに席も離れてるし、中学も別だったし、ただ同じクラスってだけ。
……でも、あのときから、なんか気になっちゃってる。
あのときとは、体育祭の実行委員に選ばれて、少しだけ一緒に準備をしたとき。
わたしがプリントをぐちゃぐちゃにしちゃって焦ってたら、
何も言わずに、予備のを渡してくれた。
目立つわけじゃないのに、進行もまとめてくれてて。
あのときの背中が、ずっと頭に残ってる。
なんでだろう。
ただ『優しかった』とか『頼りになった』とか、そういう言葉じゃ足りない感じ。
気づいたら、視線が勝手に追いかけてた。
