護符を身につけた日を境に、
雪蘭の体調は急激に悪化した。
● 息がしづらく、胸が締めつけられる
● 熱が出て、手足が冷える
● 瞳の前が白く霞む
● 感情が揺れると霊力が暴走する
このような症状が
四六時中、雪蘭を苦しめるのだ。
最初は何日かに1回、
ほんの僅かな時間だけだったのが
だんだん頻発してきて、
また症状の出る時間も長くなっていった。
そしてある日、
ついに雪蘭は倒れてしまう。
侍女が悲鳴を上げ、
その知らせはすぐに凌暁の耳に届く。
凌暁は執務を放り出すように駆けつけた。
「雪蘭!……雪蘭、聞こえるか!」
雪蘭は熱で頬を赤くし、震えていた。
彼女の胸元の護符は、
薄く黒ずみ、ひび割れている。
(何だ……これは……?)
凌暁は護符を掴んだが、雪蘭が痛みに呻き、
彼はそれ以上触ることができなかった。
「こんなになるまで……なぜお前たちは放っておいたのだ!!」
凌暁の怒号に侍女は震えあがり、
璃月は“心配そうに”眉をひそめる。
「国主さま……雪蘭様は“ご自分の霊力が不安定だから”と、侍女の手を煩わせまいとして……」
(嘘を言わないで……!)
朦朧とする意識の中で
璃月の適当なごまかしが聞こえた。
しかし雪蘭は口を開くことができない。
「医師を呼べ!
薬師も祈祷師も全員だ!
雪蘭を治せる者を――すぐに連れて来い!!」
凌暁は治療のため医師や薬師を総動員させ、
雪蘭の手を握ったまま夜も眠らず看病した。
だが――
● 薬は効かない
● 祈祷師のお祓いでも霊力は安定しない
● 雪蘭はどんどん痩せていく
凌暁の瞳は焦燥と恐怖で赤く染まりつつあった。
天啓での神事に臨んでいる間の
執務が溜まっており、
それらを片付けるのに忙しく、
最近は雪蘭と過ごす時間がなかったのだ。
今さらになってそれを悔やむ。
(どうか……どうか雪蘭を連れて行かないでくれ……彼女がいなければ……私は……)
もはや彼は、
国主ではなく
ただひとりの“愛する妻を失いたくない男”だった。
雪蘭の体調は急激に悪化した。
● 息がしづらく、胸が締めつけられる
● 熱が出て、手足が冷える
● 瞳の前が白く霞む
● 感情が揺れると霊力が暴走する
このような症状が
四六時中、雪蘭を苦しめるのだ。
最初は何日かに1回、
ほんの僅かな時間だけだったのが
だんだん頻発してきて、
また症状の出る時間も長くなっていった。
そしてある日、
ついに雪蘭は倒れてしまう。
侍女が悲鳴を上げ、
その知らせはすぐに凌暁の耳に届く。
凌暁は執務を放り出すように駆けつけた。
「雪蘭!……雪蘭、聞こえるか!」
雪蘭は熱で頬を赤くし、震えていた。
彼女の胸元の護符は、
薄く黒ずみ、ひび割れている。
(何だ……これは……?)
凌暁は護符を掴んだが、雪蘭が痛みに呻き、
彼はそれ以上触ることができなかった。
「こんなになるまで……なぜお前たちは放っておいたのだ!!」
凌暁の怒号に侍女は震えあがり、
璃月は“心配そうに”眉をひそめる。
「国主さま……雪蘭様は“ご自分の霊力が不安定だから”と、侍女の手を煩わせまいとして……」
(嘘を言わないで……!)
朦朧とする意識の中で
璃月の適当なごまかしが聞こえた。
しかし雪蘭は口を開くことができない。
「医師を呼べ!
薬師も祈祷師も全員だ!
雪蘭を治せる者を――すぐに連れて来い!!」
凌暁は治療のため医師や薬師を総動員させ、
雪蘭の手を握ったまま夜も眠らず看病した。
だが――
● 薬は効かない
● 祈祷師のお祓いでも霊力は安定しない
● 雪蘭はどんどん痩せていく
凌暁の瞳は焦燥と恐怖で赤く染まりつつあった。
天啓での神事に臨んでいる間の
執務が溜まっており、
それらを片付けるのに忙しく、
最近は雪蘭と過ごす時間がなかったのだ。
今さらになってそれを悔やむ。
(どうか……どうか雪蘭を連れて行かないでくれ……彼女がいなければ……私は……)
もはや彼は、
国主ではなく
ただひとりの“愛する妻を失いたくない男”だった。



