そんな2人きりの旅路も終わり、
ようやく霜華国に到着する。
城門の前には、
すでに大勢の民が集まり、
万歳の声が響いていた。

「国主様が麒麟の加護を得られた!」
「霜華国の繁栄が始まるぞ!」
興奮と祝意に満ちた歓声が空に吸い込まれた。

雪蘭は慣れない喧騒に少し戸惑ったが、
隣にいる凌暁の存在が心を落ち着かせた。
「雪蘭、疲れてはいないか?」
「大丈夫。凌暁様がそばにいてくださいますから。」

その言葉に、凌暁の耳朶がわずかに赤く染まる。
二人の変化に気づく者は――まだいなかった。