そして最後に――
凌暁と雪蘭の番が訪れた。
彼らが前に歩み出た瞬間、
神殿内の空気がひやりと変わる。

二人は小さく息を吸い、
そっと視線を交わす。
(大丈夫。絶対に離れない。)
互いの頷きは言葉よりも強く、
祈りよりも深かった。

手を繋いだまま、一歩。
光脈へと足を踏み入れる。
その時――
雪蘭の胸の奥がふつりと温かく脈打った。
(……これは……)
胸元が淡く光を帯び、
そこから金色の粒子がほろほろと零れ始める。

「雪蘭!?」
「雪蘭さま……!」
固唾をのんで見守っていた者たちから
驚きの声が起こったが、
次の瞬間――
その光は地面へ吸い込まれ、
光脈が震えるように波打ち、
黄金の奔流が神殿を駆け巡った。

眩い光が一筋、
雷のように走り抜ける。

蓮音が震える声で叫ぶ。
「き……麒麟(きりん)の光――!!
麒麟が……選んだ……!!」