だが、それだけでは足りなかった。
まるで――
“今、ここにいる”という証を、
身体のすべてで刻みつけておきたいかのように。
凌暁の指は、雪蘭の背からそのまま肩へ、
そして流れるように彼女の髪へと移った。
艶のある黒髪をそっと撫で下ろし、
指先で柔らかさを確かめ、
一房、すくうように掬って頬に触れさせる。
「……雪蘭」
低く、熱のある声に雪蘭の肩が震えた。
次に、彼の指は雪蘭の頬に触れた。
親指で輪郭をなぞり、
涙の跡まで丁寧に撫でる。
頬から耳の後ろへ、
耳から首筋へ、
そのすべてに“触れて、確かめて、離れがたい”という想いが滲む。
雪蘭はくすぐったそうに身じろぎし、
真っ赤になって凌暁を見上げた。
「……りょ、凌暁さま……そんな……」
言い終える前に、
凌暁の手が彼女の鼻先に触れ、
続いて、ごく自然な動きのまま唇の形をなぞった。
雪蘭は「ひゃっ……」と小さく震え、
両手で凌暁の衣をぎゅっとつかむ。
耐えきれず、恥ずかしさに顔を伏せ――
そのままぽすりと凌暁の胸に顔を埋めた。
まるで――
“今、ここにいる”という証を、
身体のすべてで刻みつけておきたいかのように。
凌暁の指は、雪蘭の背からそのまま肩へ、
そして流れるように彼女の髪へと移った。
艶のある黒髪をそっと撫で下ろし、
指先で柔らかさを確かめ、
一房、すくうように掬って頬に触れさせる。
「……雪蘭」
低く、熱のある声に雪蘭の肩が震えた。
次に、彼の指は雪蘭の頬に触れた。
親指で輪郭をなぞり、
涙の跡まで丁寧に撫でる。
頬から耳の後ろへ、
耳から首筋へ、
そのすべてに“触れて、確かめて、離れがたい”という想いが滲む。
雪蘭はくすぐったそうに身じろぎし、
真っ赤になって凌暁を見上げた。
「……りょ、凌暁さま……そんな……」
言い終える前に、
凌暁の手が彼女の鼻先に触れ、
続いて、ごく自然な動きのまま唇の形をなぞった。
雪蘭は「ひゃっ……」と小さく震え、
両手で凌暁の衣をぎゅっとつかむ。
耐えきれず、恥ずかしさに顔を伏せ――
そのままぽすりと凌暁の胸に顔を埋めた。



