ついに、彼が初めて口にした“愛”の言葉。
その一言は雪蘭の胸に溶け落ち、
全身を熱で満たしていく。
「……私も……私も、同じです。凌暁さまを愛しております。」

涙を滲ませながら告げる雪蘭。
ふたりの距離は自然と近づき――
夫婦になって初めて、唇が触れた。
触れるだけのはずだった口づけは、
互いの想いがあまりに深すぎて、
ゆっくりと、甘く長いものへ変わっていく。
今まで耐えてきた想いのすべてを告げるような、
深く、甘く、溶けてしまうほどの口づけ。

唇が触れた瞬間、
雪蘭の背に凌暁の手がすべり、
彼女は胸の上に抱きかかえられるように包まれた。

雪蘭の指が凌暁の衣を弱く握る。
離れがたくて、息が続く限り唇が絡む。
名を囁きながら触れるたび、
互いの体温が確かめるように交わる。

やがて唇を離したとき、
凌暁は雪蘭の額にそっと口づけ、
震える声で囁いた。
「――今夜は、このまま抱いていたい。
目を離したら……そなたが消えてしまいそうだ。」
雪蘭はそっと彼の胸に顔を沈めた。
「消えたりしません。明日、何があっても……私はここにいます。ずっと、ずっと凌暁さまの隣に。」

凌暁の腕はさらに強く雪蘭を抱きしめ、
指先がまるで大切な宝物を確かめるように
彼女の背をなぞる。