次なる儀式は「断穀の膳」
——麒麟を迎えるための食事である。
湯清めの後は、
特別な食事が振る舞われるのだ。
麒麟は清浄さを司るため、
この日は“重い食”を避け、
身体を軽く保つことが定められていた。
用意されたのは、
・神泉で炊いた粥
・春季の初芽を摘んだ野草
・最低限の塩
・祈祷師が清めた果実
・蓮の蜂蜜を薄く垂らした湯茶
である。
雪蘭は箸を持ちながら、小さく息をつく。
(こんなに簡素なのに……心がすっとする。)
凌暁も同じ膳を口にしており、
いつもより穏やかな顔つきだった。
ふと雪蘭が視線を向けると、
凌暁もちょうど彼女を見ていて、目が合う。
「湯殿では……よく温まったか?」
「はい……おかげさまで。」
思わず湯殿での雪蘭の姿を想像してしまい、
赤面してしまう凌暁。
そんな凌暁を雪蘭は不思議そうに見ている。
なんとか誤魔化そうと湯茶を口に含んだ。
(どうしたんだ俺は……あの甘い距離感を思い出すから、今日は余計に胸が落ち着かない……)
そんなふたりの様子を尻目に、
他の国の者たちはざわめいていた。
湯殿での雪蘭の変化を
妃たちが広めていたからである。
「雪蘭様……昨日の件で、やはり何かお力が……?」
「霜華国がいずれの幻獣の加護を受けるのでは……?」
「そうなれば早々に同盟を結んでおいたほうが……」
噂は静かに広がっていく。
——麒麟を迎えるための食事である。
湯清めの後は、
特別な食事が振る舞われるのだ。
麒麟は清浄さを司るため、
この日は“重い食”を避け、
身体を軽く保つことが定められていた。
用意されたのは、
・神泉で炊いた粥
・春季の初芽を摘んだ野草
・最低限の塩
・祈祷師が清めた果実
・蓮の蜂蜜を薄く垂らした湯茶
である。
雪蘭は箸を持ちながら、小さく息をつく。
(こんなに簡素なのに……心がすっとする。)
凌暁も同じ膳を口にしており、
いつもより穏やかな顔つきだった。
ふと雪蘭が視線を向けると、
凌暁もちょうど彼女を見ていて、目が合う。
「湯殿では……よく温まったか?」
「はい……おかげさまで。」
思わず湯殿での雪蘭の姿を想像してしまい、
赤面してしまう凌暁。
そんな凌暁を雪蘭は不思議そうに見ている。
なんとか誤魔化そうと湯茶を口に含んだ。
(どうしたんだ俺は……あの甘い距離感を思い出すから、今日は余計に胸が落ち着かない……)
そんなふたりの様子を尻目に、
他の国の者たちはざわめいていた。
湯殿での雪蘭の変化を
妃たちが広めていたからである。
「雪蘭様……昨日の件で、やはり何かお力が……?」
「霜華国がいずれの幻獣の加護を受けるのでは……?」
「そうなれば早々に同盟を結んでおいたほうが……」
噂は静かに広がっていく。



