寝殿に戻ると、
凌暁はすぐに布団を整え、
雪蘭を横に寝かせた。
「雪蘭、しっかり息を吸って。ゆっくりだ。」

凌暁の指先が頬に触れて、
雪蘭の荒い呼吸が少しずつ落ち着いていく。
「……ありがとう、凌暁様。もう平気……です。」
「本当に大丈夫なのか?神気にあてられて錯乱するなんて……どうしたらいいのか。」
「今回の神事で私の中の霊力が高まり、共鳴してしまったのでしょう。蓮音様が持っていらっしゃった霊鏡の奥に……誰かの意志のようなものを感じたの。その瞬間、私の中に何かが入ってきて……」
雪蘭の声はまだ震えていた。

凌暁は彼女を抱き寄せ、額にそっと触れる。
「今日はもう休め。」
「でもまだ神事が終わっておりませんでしょう。私が抜けるわけには。」
「そなたの分も私が祈ろう。大丈夫だ。」
凌暁は雪蘭の右手を握ると、
安心したのか、
たちまち雪蘭は眠気に支配されて
ゆっくりと目を閉じた。