夜。

「……あの時の炎、まるで、そなたを守っているようだった。」
凌暁が静かに言った。
部屋の灯が、柔らかく彼の横顔を照らしている。

「私など、まだ未熟です。ただ……舞の途中で、何かに包まれるような――何か温かいものが私の身体を駆け巡り、力が湧いてきたのです。」
凌暁は目を細め、
「……朱雀が応えたのだろう。あの炎は、まるで命そのもののようだった。そなたの舞が最も素晴らしかった。私も誇らしい。」

その言葉に、雪蘭の頬がわずかに染まる。
凌暁が雪蘭を褒めるなど初めてのことだ。
彼の声音はいつになく柔らかく、
まるで焔の余韻のように温かかった。

二人の間に流れる沈黙が、
今夜はなぜか心地よかった。