天啓の広場には朱の幕が張られ、
四方に灯された炎が風に揺らめいていた。
その中央、金砂を敷いた舞台に
次々と妃たちが上がる。

衣は紅や橙、金糸の刺繍が陽光を受けて煌めき、
香が焚かれ、熱気が漂う。

神事を見守る神官たちは目を細め、
「この舞は南嶺の王妃か……」
「いや、流れの美しさなら黎国の妃が一歩上だ」
と、口々に囁く。

国主たちもまた、腕を組み、
他国の妻を冷ややかに見つめながら、
自国の誇りを測っていた。

舞を奉納するという華やかな神事は、
女たちのプライドがぶつかり合う
ある種の代理戦争でもあったのだ。

凌暁も、静かにその場に立っていた。
彼の視線の先には、
淡い紅の衣を纏った雪蘭の姿。
凌暁は雪蘭が舞う姿を見たことがない。
大丈夫だろうか。
一抹の不安が凌暁の胸をよぎる。