黎明の麒麟ー凌暁と雪蘭の伝説ー

翌朝。
雪蘭は少し身体がだるく、
ゆっくりと身を起こした。

その隣で、凌暁は心配そうに覗き込む。
「本当に大丈夫か?無理をさせてしまったか。」
「大丈夫です……。ただ、少し……眠いだけで……」

凌暁はほっと息をつき、
額にそっとキスを落とした。
「今日は宮務を減らす。そなたに負担をかけたくない。」

雪蘭は嬉しさと照れで胸がぎゅっとなる。
そんな甘い空気の中、
コン……と何かが窓を叩いた。
凌暁が眉をひそめる。
「……妙だな。」

そっと窓を開けると──
そこにいたのは、小さな麒麟。

雪蘭が思わず声をあげる。
「麒麟様……!?」

麒麟は雪蘭を見て、
にやにやと口元を歪めた。
『おやおや?昨夜はずいぶんと……充実した顔をしておるな、雪蘭。』

「ッッッ!?」
雪蘭は瞬間的に布団に潜り込む。
凌暁は慌てて眉を寄せる。
「おい、麒麟……言葉を選べ。」
『選んでおるつもりだが?──まあ、安心せい、雪蘭。
昨夜のことくらい、ワシほどの神獣には見ようとせずとも見えてしまうのだ。』
「ひゃっ……!!み、見ないでくださいませ!!」
『ははは!見せつけたのは、そなたらの方じゃろう!』

雪蘭は布団から少しだけ顔を出し、
死にそうなほど赤くなる。