黎明の麒麟ー凌暁と雪蘭の伝説ー

都から戻った雪蘭は、
まだ胸がくすぐったいような高揚を抱えていた。

民の温かい視線。
凌暁の堂々とした腕。
「誇らしい」と言ってくれた低い声。

自室に戻り、
衣を脱ごうと帯に手をかけた雪蘭の背に、
そっと温かい手が添えられた。
「……一人で解かなくて良い。」

振り返ると、凌暁が穏やかに微笑んでいた。
「り、凌暁……!」
「今日はずっと我慢していた。」
そう言って帯をゆっくりと解きながら、
耳元へ唇を寄せる。
「都で、そなたがあまりに可愛すぎたから。」
「か、可愛いだなんて……!」
雪蘭は真っ赤になり、肩を竦めた。
そんな反応さえも刺激するようで、
凌暁の指先がさらに優しくなっていく。

衣をすべて解かれると、
凌暁は彼女を抱き寄せ、額をそっと重ねた。

「雪蘭。……今日、笑っていてくれて嬉しかった。」
「わたしも……凌暁と一緒で、とても……心が軽くなりました。」
すっと彼の胸元に頬を寄せる。
その温もりが、
雪蘭が帰る場所はここだと告げているようで。
凌暁はその細い肩を抱きしめ、囁く。
「……もっと、そなたを感じたい。」
雪蘭の呼吸がふ、と甘く揺れる。
「……はい。」

その一言で、すべてがほどけていった。