黎明の麒麟ー凌暁と雪蘭の伝説ー

雪蘭が政務棟に顔を出すと、
女官たちは一斉に背筋を伸ばす。

「雪蘭様、お疲れではありませんか?お茶をご用意します!」
「お部屋が寒くないよう、敷物を替えておきました!」
明らかに“昨夜の件”を知っている態度である。

――そして、そんな空気は宮廷中に伝わり……
「国主さまと雪蘭様が、とうとう……?」
「あの御二人なら、きっと立派なお世継ぎが……」
「いや、むしろ早い方がよい!」

という期待の声がそこかしこであがり始めた。