霜華国に帰国して、
政務が一段落した頃。
凌暁は璃月の元を訪れていた。

凌暁は璃月の前に立ち、静かに告げる。

「……おまえが蓮音に協力した理由はわかっている。だが、雪蘭の命を脅かした罪は消えない。」

璃月は肩を震わせた。
「私は……ただ、あなたに認められたかった。私はずっとあなただけを見てきたのですもの……」
雪蘭への憎しみよりも、
空虚さの色が濃い。

凌暁は目を閉じ、そして決断した。
「死罪にはしない。だが、おまえはもう政治に関わるな。
今日より、宰相の領地で過ごせ。二度と、誰の野心にも飲まれぬように。」

璃月ははじめて心から泣いた。

雪蘭はそっと言った。
「……どうぞお幸せに。あなたにも、未来はあります。」

璃月は震える声で呟いた。
「……ありがとう……ございます。」

こうして彼女は表舞台から完全に退き、
“野心に呑まれた尚麗の末路”として
歴史に名を残すことになる。