黎明の麒麟ー凌暁と雪蘭の伝説ー

まだ蓮音が少女だった頃。
天啓の神殿は今よりもずっと荘厳で、
霊気も澄んでいた。

「蓮音様は選ばれし子。いずれ神子となり、国を導くのです。」
囲の大人は皆、そう言って彼女を持ち上げた。

幼い蓮音はそれを素直に信じた。
努力すれば神に愛される。
清らかに生きれば、
いつか神獣の声が聞こえる。

…そう信じていた。

しかし。